近江亜紀さんは、職業モデルではなく一般女性でした。
緊美研以外にも、SMサークルSMやショーなどに出演された経験もありましたが、
モデル事務所には所属しない、普通の主婦の方でした。
ですから、亜紀さんが緊美研に参加したばかりの頃、
撮影の時には顔に包帯を巻いたり、布で目隠しや猿轡をしたりしていました。
そういう約束で写真やビデオにおさまっていた亜紀さんでしたが、
いつからか顔を出すことに抵抗がなくなり・・・というより、
どこも隠さずに、そのままの自分でいたいと思われたのか、
縛られる前の笑顔も、縛られたときの陶酔の表情も、
ぜんぶ見せてくれるようになりました。
そんな亜紀さん。
いつかの撮影のとき、後ろ手に縛られた体を和室の柱に固定されました。
動けない不自由な身体をよじり、くねらせ、
はあ、はあ、と切なげな喘ぎ声を漏らしていました。
濡木先生は少し離れた位置に立ち、腕組みをしながらその様子を眺めています。
そんな離れたところにいないで、もっと縄を足してください。
もっと責めてください。
亜紀さんの吐息からは、そんな願望が色をまとって漂うように溢れていました。
亜紀さんが、何か言おうと口を開きます。
「……して」
「……して」
背中の柱に手首を擦りつけ、
そこに縄をうんと食い込ませるようにしながら、
亜紀さんがぼそぼそと何か言っています。
耳を口元に近づけると、亜紀さんの恥ずかしそうな声が聞こえました。
「さるぐつわして・・・」
「さるぐつわして・・・」
その日の感想のお手紙を、後日いただきましたが、
それにはこう書かれていました。
「キスして・・・とは言えないから、猿轡をしてほしい。
手ぬぐいで口を覆われるその息苦しさは、
わたしにはキスのように感じます」
声を出せないように、騒がれないように・・・
縛る側・責める側がそう思っていても、
亜紀さんのように猿轡自体が愛撫になる・・・
そんな風に感じている女性もいるのですね。
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