5年前に65歳で亡くなった叔母は、マリリン・モンローが大好きだった。
告別式の際、夫である叔父が棺に入れたレコードや写真集の中には、
現在では入手困難なものがいくつもあったらしく、
葬儀会社の人が
「勿体ないですよ!」
としきりに小声で訴えていたが、あれは「思い出の品」だからという意味ではなく、
「ネットオークションで高値が付く」ということだったのだと、最近思い至った。
一緒に灰になってしまうのに……と思ったのだろうか。卑しい人だ。
花に囲まれ、おだやかに横たわる叔母の閉じたまぶたが、
ピクリと動いたような気がした。とても可愛らしい女性だった。
1985年発売のこのワイン、1990年頃には事務所の近くで5千円くらいで売っていた。
だから当時はたくさん買って、親戚やお世話になった人へプレゼントしていたけど、
それが今はこんな値段で!!
転売ヤーって、思い出もなにもボロボロにししてくれちゃうなぁ。
マリリン・メルローいや、こんなことを書きたかった訳ではない。
わたし自身、特にマリリン・モンローが好きだということはなく、
いわゆる「普通に好き」で、「知ってはいる」程度の知識しかなく、特別な想い入れももちろんなかった。
でもその叔母のことを考えていて、しばらく前に観たマリリン・モンローの映画を思い出してはっとしたのだ。
その映画の中で、マリリン(役の女優)は
「母親は女の子に、こう言わなくちゃいけないわ。かわいいって」
と寂しげに言っていた。
「ママが精神病院に行ったあとは、里親をたらい回し」
「本当の父親が誰かなんてわからない」
そう話す彼女(マリリン本人)が求めていたのは、母親から愛されることだったのではないかと、
初めて思った。
結婚と離婚を繰り返しても、「愛している」と言ってくれる男のそばにいても、
心は決して満たされない。
その頃の彼女は、自分が何を必要としてるのか、きっと解っていなかったのだろう。
彼女が切実に欲しかったのは、やさしい母親の胸。
その温かさに抱かれて、甘いふわふわした夢を見ること。
髪を撫で、そっと頬を包んでくれる、ママのやさしい手。
意識の外に追いやったそれは、決して姿を現してはくれない。
だから欲しいのは、手に入れたいのは、注がれるべきなのは、
自分を求める男たちの、声や視線や、立場や富。
そう思い込んで、それらを差し出されることこそが
「愛される」ことだと錯覚しようとした。
でも、どんなに素晴らしい女優になっても、自分を騙すことはできなかった。
何でも緊縛と結びつけて考えるばかなひと。と思われるかもしれないが、
もしも、満たされない心を抱いて漂い続ける彼女が
緊美研に遊びに来たとしたら・・・
世紀の大女優でも永遠のセックスシンボルでもなく、
ただの、ひとりぼっちの寂しい女の子として緊美研に出会えたとしたら。
そんな奇跡が起こっていたら、
彼女はあの若さで死ぬことはなかっのではないかと、そう思うのだ。
マリリン・モンローでもノーマ・ジーンでもなく、
名前も立場も年齢も……何もかもを取り去ったそのままの彼女を
濡木痴夢男が縛ったとしたら。
溺れるように漂いつづける寂しい心を、チクチクした麻縄で抱きしめてあげられたら。
きっと彼女は、その繭の中で幻のママンと邂逅し、
いちばん欲しかった無償の愛を、存分に味わうことが出来ただろう。
そしてずっと長生きし、美しいまま可愛いお婆さんになって、
たくさんの人生を演じてくれたに違いない。
自殺だとか暗殺だとか、色々なことが言われているが、
きっと彼女は、これ以上年を取って、
外見の美しさが衰えてしまったら、
男からも女からも見向きもされなくなるのはわかっている。
そんな恐ろしい未来にはとても耐え切れないと、
残りの命を一晩で使いきってしまったのではないか、
そんな風に想像する。
なんでも緊縛が解決するなど、もちろん思っているわけではない。
でも緊美研は、寄る辺なく漂いつづける、夜光虫が放つ光のような
自信がなく弱々しく、そして無自覚に愛を渇望する魂をそっと抱きしめたいと、
いつでもドアを開けて迎える準備がある、そんな場所でありたいと願っている。
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濡木痴夢男の緊縛を、できるだけ多くの方に知ってほしいと思っています。
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