マニアから学ぶこと・4 涼子さんと佳行さん

前回はこちら

小さなカメラは佳行さんの邪魔をせずに、吐息でレンズが曇るほど涼子さんに近づくことが出来る。
淡い珊瑚色の口紅をつけた涼子さんの唇が、縄の動きに合わせてゆるく閉じたり開いたりしていた。
そこから洩れる小さな喘ぎ声は、佳行さんの耳に届いているのだろうか。

はぁ、あぁ……。
はぁ、あぁ……。

と繰り返される切なげな吐息と声。
それをそばでずっと聞いているうちに、わたしも涼子さんのタイミングに合わせて呼吸していた。
繰り返される甘い喘ぎと苦痛を表す呼吸は、平常時のそれよりもずっと速く、
浅く短い呼吸を続けていたわたしの脳は酸欠になり、
頭がクラクラしてきたと思っているうちに、指先の痺れも自覚する。
このままでは、まずい。
撮影者が、責められる女性と一緒に縄酔い状態になってしまうなんてシャレにならない。
わたしは一旦お二人から離れ、全身が収まる位置まで畳の上を後ずさった。

離れて見る涼子さんと佳行さんは、背景の襖絵からくっきりと浮かび上がり、
とても美しかった。
北斎の富嶽三十六景に似た、力強い波頭が描かれた襖だ。
碧瑠璃いろの大きな波から、真珠のような乳白色の飛沫が散っている。
その前で、涼子さんは薄いローズピンクのスカートを丸く広げ、
ツルツルしたたっぷりの生地に、太腿を舐められる感触を味わってるようだ。
括られた足首だけが、スカートの裾から覗いている。
両足を小さくまとめるようにくっつけ、足指はすべて内側に強く曲げられていた。
ウエストにかかる縄が、梁から下がった麻縄の輪に結び付けられると、
むっちりした白い身体の中心が、畳から浮いてゆく。
涼子さんは足指を反らしたり曲げたりしながら、首をのけ反らせた。
白い首。
汗でそこに張り付いた、数本の髪。
はだけたブラウスからのぞくベージュのブラは、豪華なレースが眩しいほどだ。
鎖骨の窪みに、うっすらと滲んだ汗が留まっている。

佳行さんは胸縄をぐいっと掴むと、それを一つにまとめて縄尻を梁にかける。
そしてスカートに包まれた右脚を持ち上げ、膝を縛ってそれも吊り上げた。
涼子さんは辛そうに眉を寄せ、畳の上に残された左足の爪先で鮮やかなヘリを掻く。
頭が少し下がったことで、白い頬が急にばら色に染まってゆく。
自身の顔が熱くなったことを自覚すると、涼子さんは急に恥ずかしそうに身体を縮めた。

「いや、見ないで。こんな顔を、見ないでちょうだい……」

振り絞るように言う声を、佳行さんの意地悪な言葉がさえぎった。

「見られたいのはわかってるんだ。ほれ、ちゃんと顔をカメラの方に向けてみろ」

濡木痴夢男とそっくりの、やや芝居がかった言い方だった。
そうか。
さっきから微妙な既視感 に背中がゾクゾクしていたが、そういうことか。
涼子さんと佳行さんを見ていると、「緊美研ビデオ」を見ているような錯覚がある。
ご夫婦で二百本近くもの緊美研ビデオを見ているのだから、当然と言えば当然かもしれない。
それぞれが描く理想の「縛る男」と「縛られる女」。
たくさんの緊美研ビデオを見て、その中に入りたい、その世界に浸りたいと、
何十年も切実に思ってこられたお二人が、いま緊美研の世界を再現しているのだ。

わたしは胸が熱くなるのを感じ、それから頬を伝った涙が顎から零れ、
ぽたりと微かな音をたてて畳に落ちるのを見ていた。
美しい畳を汚してごめんなさい、と思いながら、
(せんちゃん、こんな素敵なマニアの人と出会えたよ。
緊美研をやってきて、本当によかったね)
と、いまはもういない人に心の中で話しかけた。

細く開けた障子の隙間から、初夏の香りが漂ってくる。
お庭の緑がまばゆく、紫陽花の濃いブルゥが切なかった。

スポンサーサイト

[タグ未指定]
[ 2017/08/01 20:53 ] 緊縛美研究会 | TB(-) | CM(-)

マニアから学ぶこと・3 涼子さんの反応

前回はこちら……でも直結ではありません。

麻縄を持ったわたしが背後に立つと、涼子さんは「はぁ」と悲しげに息を吐いた。
小さな手をきつく握りしめている。
何も塗られていない爪は、きれいなピンク色だった。
まあるい肩が、ゆっくりと上下する。
白い首筋は、その肩に埋まってしまうほど緊張に縮こまっていた。

「いきます」と口の中でつぶやいて、涼子さんの手首をとる。
「うっ」と「あっ」の中間くらいの声が洩れ、涼子さんの身体はますます強張った。
右手を下にして重ねた左右の手首を支え、その下に麻縄をくぐらせる。
両手首に2回巻きつけて、きゅっと結んだ。
縄尻を引き上げて高く持ち、そのまま涼子さんの顔を覗きこむと、
いやいやをしながら俯いて、唇を噛んでいた。
(かわいい! 可愛い!)とゾクゾクしながら佳行さんを見ると、
もう少し縛ってやってください、と目で合図される。
コクリと肯いて涼子さんの肩に手をおきながら、左腕から胸の前へと縄を回した。
手首に戻って固定するときに少し力を入れて締めると、
涼子さんは上体を前に倒して首を左右に振る。
(きついですかね)と目で問うと、
すぐそばで腕組みしながら見つめていた佳行さんは
そんなことはありません。まだまだいけます。
と自信ありげに鼻の穴を膨らませた。

201707-03.jpg

でも、わたしが縛るのは最初の一本だけという約束だし、
何よりも、わたしが縛っていたのではビデオを撮ることができない。
涼子さんの両肩を手のひらで包んで、後ろから耳元に囁く。
「では、離れますね。あとはご主人にお任せします」
恥ずかしそうに肯いて、涼子さんはぎゅっと目を閉じた。

黒いバッグから麻縄を取り出し、佳行さんが涼子さんの正面に立つ。
一本の縄で縛られただけなのに、もう涼子さんは動けなくなっている。
身体を小刻みに揺らし、唇を噛みしめ、瞳を忙しなく動かしながら目の前の夫を見つめている。
時間にしたら、十数秒程度のことだったと思う。
だが、このふたりの間に漂うヒリヒリと痛いような空気は、
広い室内から酸素を奪いつくしたように、わたしを息苦しくさせた。

小さなビデオカメラを持つ手のひらが、少し汗ばむ。
まだ始まってもいないのに、こんなんで大丈夫か!? と思いながらも、
初めて目の当たりにする「マニア夫妻の緊縛交歓」に、心躍るというよりも
もう期待と興奮で目の前が真っ赤に染まるほど、わたし自身もハイテンションだった。

201707-04.jpg

愛用の縄は、濡木のよりも少し太いようだ。
充分に使いこまれているらしいそれは、麻縄なのに表面が滑らかで、
ヒトアブラ(涼子さんひとりだけなのか?)によるものだろう光沢がやさしげだ。
そのつややかな麻縄が、わたしが使った濡木の縄に結わいつけられ、
生命を宿したように呼吸し始める。
胸の下に二巻きし、後ろで留める。
わたしは佳行さんの手を追いながら、涼子さんの表情にも迫った。
「おっとりとやさしい女性」という印象の涼子さんは、
その反応もやわらかでやさしい。
激しく身を捩って悶えたり、大きな声で泣いたりということは、
きっとしないタイプなのだろう。
時折ため息を洩らしながら、きゅっとあげた肩に頬を擦りつけるようにして恥じらい、
目を閉じて縄を味わっている。
佳行さんの手が肌に直接触れるたび、小さくヒッと息を吸い込む。

もう何十年も、こうして二人きりで緊縛を楽しんできたのだ。
それなのに涼子さんの反応は初々しく、可愛らしい。
その顔も、全身の表情も、本当に可愛らしいのだ。
お二人の間に流れる、やさしくも濃密な空気はいままであまり触れることのなかったもので、
一般の、素人の、「愛ゆえの緊縛」のマニアックな光景に、
自分が溶けて混じってしまいそうな錯覚をおぼえた。

ただ目の前のふたりを撮る。
わたしの撮りたいように撮る。
こんな機会を与えていただいたことに感謝しながらも、
わたしはただただ夢中だった。


※写真は枷井克哉氏の作品。
 女体を棒で突くのが好きな濡木痴夢男。
 二枚目は枷井さんの好きな腹部への責め。

[タグ未指定]
[ 2017/07/21 12:15 ] 緊縛美研究会 | TB(-) | CM(-)

マニアから学ぶこと・2

前回からのつづき

それまではチラチラとこちら(ベランダ)を見ていたくせに、
いざ縛ろうとなると、こんなにいきなり……。

できれば濡木が立ち上がる瞬間からビデオに収めたかった。
彼女のどんな仕草に触発されたのか知りたかった。
連れの男性を見る視線だったのか、ふと俯いたときの顎のラインだったのか、
それとも、はらりと一本抜け落ちた黒髪がスカートの上を転がるのを見たときなのか。
いや、もしかしたらそのどれでもなく、男性から電話を受ける前に話していた
美味しい焼きそばを、早く食べたいと思ったからなのかもしれない。
せんちゃんは、食いしん坊なのだ。

201707-1.jpg

今までに、パートナーである男性から何度も縛られていたらしい。
前開きのブラウス、後ろにファスナーがついたフレアスカート。
縛りながら少しずつ乱してゆくのに、ぴったりな服装をしている。
腕と胸をぎっちりと縛られた彼女は、じっと男性の方を見ている。
背後の濡木を振り返ったのは、最初の一度だけだった。
「彼女には話していない」のではなかったか。
驚きも怖がりもせず、麻縄に拘束される自分の身体を男性の方に向け、
胸を突き出すように背中を少し反らす様子は、
こういったハプニングに見せかけた緊縛・SMが彼女にとっては
特別なことではないように思えた。

「どう? 彼女。いつもやられてる縄と違うだろう」
男性の方を向いて、少し得意そうに言う濡木。
彼の表情が変わるのを面白がっているのだ。
でも、残念なことにベランダから男性の顔は見えない。
きっと、いつもこんなことをしているのだろう。
ふたりのSMプレイでは満足できず、誰かに見られることや、
彼女が他の男に縛られるのを楽しむようなカップルなのだ、と
わたしは勝手にそう思い、寒いベランダでコソコソと撮っている自分に
ムカムカしてきた。

彼女のブラウスのボウタイを、濡木がしゅるっとほどく。
白くふっくらとしたデコルテには、黒っぽい筋状の痣のような物が見える。
カメラを三脚から外し、ハンディに切り替えてガラスに近寄ってみる。
あぁ、もどかしい。
どうせ撮影されることだって知っている筈だ。
そう思い、そっと外からサッシを開ける。
ゆっくり、静かにそろそろと。
冷たい空気が室内に流れ込み、彼女はきゅっと肩をすぼめながらこちらを見た。
目が合った時のその顔には、満足気な(今で言う)ドヤ顔が張り付き、
わたしと彼女は一瞬で何かを共有したと確信した。

201707-02.jpg

ドヤ顔にドヤ顔で応え、わたしは彼女に近寄っていった。
レンズがその肌に触れるほど近づき、唇から洩れる息で画面が曇る。
濡木に目で合図しながら下がる。
ボウタイの下のボタンをひとつ、ふたつと外していくと、
むっちりとした身体が露わになってきた。
うっかり指を這わせたら、吸い付いてしまいそうな肌。

濡木が黒いブラジャーからぷるぷるの乳房をつかみ出す。
片方だけ零れた乳房の上に縄を押し付け、麻紐で乳首の根元を縛った。
苦痛の呻き声を漏らしながら、彼女は上半身を彼の方へ捩る。
差し出された乳房を、両手で強く握り潰すように揉む彼。
熟した桃だったら、とっくに果汁が溢れて滴っていただろう。
皮膚が破れてしまうのではないかと心配になるほど、
その揉み方は激しかった。
彼女は歯を食いしばるようにして身体を揺らしていたが、
急に大きな声で悶えはじめた。
あまりにも大きいその声に、濡木が慌てて布を口に詰め込む。
喉の奥まで届くほど大量の布を詰められ、彼女は息が苦しそうだ。
さらに手拭いを二重に巻きつけ、その上から麻縄をかけた。
「う゛う゛~」
とくぐもった低い声で呻きながらも、彼女は自分から床に横たわると、
フレアスカートの脚をそろそろと開いていった。


「や、私は何を書いているのだ」
これは、以前の「緊縛ナイショ話」でせんちゃんがよく書いていたこと。
すぐに書いていることが横道に逸れてしまっていた。
わたしは、「こんなに詳しく書くつもりじゃなかった」
いつもそうなのだ。
さらっと書いてどんどん進めるつもりが、詳しく再現したくなってしまう。
これも、「マニアから学んだこと」のひとつだ。

つづきはまた次回に。

※写真はどちらも枷井克哉氏の作品。
 サングラスをしたせんちゃんは、ちょっとキモチワルイ(笑)

[タグ未指定]
[ 2017/07/19 01:31 ] 緊縛美研究会 | TB(-) | CM(-)

マニアから学ぶこと・1

せんちゃん(濡木痴夢男)と毎月緊美研の例会を行っていた当時、
ことあるごとに「マニア」「マニア」とせんちゃんが口にするのが鬱陶しかった。

濡木の言う「マニア」とは、もちろん「緊縛マニア」のことで、
本当にマニアと呼べるほどでもなく、
「ちょっと縄に興味があります」
「一度縛られてみたかったです」
その程度の若い女性のことも、濡木はマニアと呼んだ。

一般女性が会員と一緒に、あるいは濡木が大手ビデオメーカーの現場で見初めた
AV女優などが見学のつもりで例会に参加すると、
「ちょっとここへ来てごらんなさい」
と、麻縄を扱きながらニコニコと言う濡木に導かれ、
床と平行に天井から吊り下げられた竹棒の下に立たされる。
そしてライトが向けられ、気づいた時には高手小手に縛られている。
そんなことが毎月のように起こった。

彼女たちはたいてい、知らないうちに拘束されたことに驚き、
手首に巻き付いた麻縄の感触のやさしさに驚く。
「もっと痛いのかと思ってました」
「綿ならいいけど、麻縄はチクチクしそうで嫌でしたが、
こんなに柔らかいなんて」
濡木の縄は、ふわりと舞い降りるように手首に絡み、
そのまま二の腕、胸と身体に巻かれてゆく縄を
ぼんやりと見おろしていられるほど、初めて来た女性にやさしい。
まずは、麻縄を知ってもらうこと。
麻縄を好きになってもらうこと。
そこからはじまるのだ。

濡木は、彼女たちを注意深く観察しながら縄を足し、
出来そうな人は、次第に厳しいポーズに固縛してゆく。
もう彼女たちの口からは、照れ笑いも何も出ない。
切なそうな溜め息と、時々喘ぎ声を漏らしながら
縄に身を任せるばかりになる。
そして、解かれる頃にはすっかり麻縄の虜になり、
「ほどかれたくない」
と小さな声で洩らすのだ。

そんな女性たちをたくさん見てきたが、
当然、まったく縄に興味がなく、縛られることに不安を持つ女性もいた。

「一人で緊美研に行って、濡木先生に縛られてこい。
その恥ずかしい姿をビデオに撮ってもらうんだ」
ご主人にそう言われ、本当に一人だけで新幹線に乗って来た、桜井礼子さん。
礼子さんは、例会の中で濡木に縛られ、言葉による辱めを受けながら、
涙を流していた。
それは不快感情からではなく、とても充足した幸福な涙だったという。

「妻(あるいは恋人・愛人)を縛って責めたビデオを作って欲しい」
という要望もたくさん寄せられたが、それは緊美研の趣旨と違うため、
いつもお断りしていた。
しかしある時、強引な一人が新宿の緊美研事務所に
女性を伴ってやってきた。

愛人であるというその女性には、縛ることは一切話していない。
事務所で濡木やスタッフと会話しているうちに、
女性は必ずその気になるから、是非お願いしたいと。
電話を受けた30分後に到着するというので、急いで準備をした。
狭い事務所だった。
壁には商品である(当時)ビデオテープを収めた什器がびっしり並び、
反対側には机やFAX台などが設置してある。
中央のテーブルを囲んで座り、そのまま流れで縛り始めることになっていた。
カメラを出したりセッティングしたりでは、
せっかくその気になった女性の気が削がれてしまうと、
予めベランダにビデオカメラを設置した。
ガラス越しの撮影になる。
サッシ窓の下半分はすりガラスなので、できるだけ立ちポーズで。
もしも床に倒れてしまったら、三脚からカメラを外してハンディで撮り、
女性が前後不覚になるほど縄酔いしたら、そっと室内に入って撮ればいい。
そんな段取りだった。
もちろん撮るのはわたしだが、その前に来客を迎え、お茶を出さなければならない。
どうしようかと悩んだが、隣の部屋からベランダに出て、
エアコンの室外機を跨いでカメラにたどり着くことにした。
寒い時期だった。
コートを出す余裕がなかったため、
事務所にいるままの薄着で7階のベランダに出るのは辛かったが、
「いい画」を撮るためなら、寒さなどすぐに気にならなくなる。
奥行のない狭いベランダで、ひとり待機すること30分。
男たちが三人がかりでなだめすかし、女性は女王気取りで笑っている。
ベランダからガラス越しの撮影。
もちろんカーテンは閉められており、細い隙間からこっそりと撮るのだ。
濡木がチラチラとこちらを見る。
バレちゃうからやめてぇ~、と思いながらかじかんだ指を録画ボタンの上に置く。
痺れを切らした濡木がいきなり立ち上がり、女性の背後に回った。
「あっ、ちょっと……」
そんな言葉が彼女の口から洩れる。(よく聞こえなかったけど)
「そんな気はなかった」割に、彼女は協力的に身をよじって縄を受けた。
とても積極的に見えた。

長くなってしまった。
続きは次回に。

[タグ未指定]
[ 2017/07/16 21:50 ] 緊縛美研究会 | TB(-) | CM(-)

やさしい縄

わたしは、よくお菓子を作ります。
ケーキやクッキー、パイなどの焼き菓子がほとんどです。
今ではバターや卵白を泡立てるときには
電動のハンドミキサーを使いますが、
本当は大きめのホイッパーを使って、手作業をしたいです。

昔のハンドミキサーでは、材料の中に出来る気泡があまりよくなく、
ボウルの底から掬い上げるように、
大きく動かすことができる泡立て器で作業したときよりも、
風味も口当たりもずっと落ちると感じていました。
手作りなんだから器械に頼りたくない・全部手作業でやりたいという、
へんなこだわりがありました。
大変な想いをして作った方が美味しくなるはずだという、
根拠などない思い込みもありました。

今は電動ハンドミキサーを使いますが、
それでもやっぱり、器械に頼らない方が
心のこもったやさしい味わいになると、そんな気がしています。


前回(12月)の緊美研開催時のビデオをチェックしました。

一人目のモデル、沢戸冬木さんが衣装に着替えて
奈加さんのとなりに座っています。
奈加さんは、自分のバッグから麻縄を取り出し、
太さや扱い方をみんなに解説しています。
「濡木先生はスーパーの袋に入れてあったよね」
「先生はいつもこうして縄を指でしごいてた」などと、
奈加さんの仕事の道具であり、
自身の魂をこめたものである麻縄を
大切そうに披露してくれました。

その中で、濡木痴夢男は麻縄をどのように柔らかくしていたかを
みんなに教えてくれました。
せんちゃんはいつも、新しい麻縄を両手の指で少しずつ手繰りながら、
丁寧に丁寧に揉んでいました。
だから、せんちゃんが座っていた場所には、
いつも縄の繊維ゴミが大量に落ちていたのです。
チクチクと衣類に刺さるそのゴミは、
せんちゃんが着ていた黒いスウェットの上下にびっしり着いて、
撮影後の緊美研事務所の洗濯機は、そのゴミですぐにいっぱいになりました。

でも、そうしてせんちゃんが手揉みした麻縄は、
余分な繊維が抜けた分、ふんわりと柔らかく、
軽やかに肌に吸い付きます。
どんなに厳しい縛りでも、せんちゃんの縄は何故か安らぐ。
写真集「BIND」のテキストで、
MERZBOWの秋田昌美さんはこう書いています。
「彼女たちは孤独だが、一瞬安らいでいるようにも見える。
不二秋夫が彼女たちに成り替わりたいという愛情があるからだ」と。
緊美研で撮影された写真を鑑賞するときには、
確かにそう感じることがあるかもしれません。

でもわたしは今日、ビデオの奈加さんの言葉を改めて聞いて、初めて思いました。
せんちゃんが手間暇かけて、縄を揉んで柔らかくしてくれたからなのではないかと。
だから、そのやさしさと愛情を感じて、
「彼女たちは安らぐ」のではないかと。
余分な繊維が抜けて、代わりに充分な空気を含んだ麻縄は、
ふんわりと柔らかく、きっとヒトアブラも吸収しやすいのでしょう。

あの、一本目の縄が背中に回された手首にかかった瞬間の、
切なくて懐かしくて、泣きたくなるような感じは、
きっとせんちゃんのやさしさと愛情があったからなのかな、と
今はもういない人に、訊いてみたいことがいっぱいで、
また今日も泣けてきそうです。

奈加さんが濡木痴夢男の話をするとき、
カメラを持っていても、わたしはせんちゃんの縄を手首に感じます。
やさしくて厳しいあの縄が、奈加さんの手の中で呼吸している。
女の肌に食い込み、厳しく責めてやろうと、その時を待っている。
技術や道具よりも、本当に大切なもの。
緊縛の「こころ」を受け継いでくれた奈加さんに、
ものすごく感謝しているのです。

奈加さんの手の中で揉まれていた縄を想いつつ、
明日は久しぶりにハンドミキサーを使わずに、ケーキを焼こうかな。

【追記にて、次回緊美研の詳細をお知らせしています】

[タグ未指定]
[ 2017/02/01 01:31 ] 緊縛美研究会 | TB(-) | CM(-)
プロフィール
春原 悠理 Youri Sunohara Facebook
Twitter

濡木痴夢男の緊縛美研究会の主宰です。
好きなもの:ねこ、チョコレート、雑多な読書、映画鑑賞

便利なものは苦手です。
DUGAでダウンロード

アダルト動画検索(18禁)

アダルト動画 DUGA



不二企画

アダルト動画 DUGA -デュガ-
アダルトレーベル紹介
夢流想倶楽部
▲濡木痴夢男の緊縛参加も!▲

シネマジック
▲濡木痴夢男の緊縛参加も!▲

杉浦則夫緊縛桟敷 新世界 関西マニア倶楽部
▲月額登録でお得に▲

隷嬢寫眞館
メスブタ.com