マニアから学ぶこと・3 涼子さんの反応

前回はこちら……でも直結ではありません。

麻縄を持ったわたしが背後に立つと、涼子さんは「はぁ」と悲しげに息を吐いた。
小さな手をきつく握りしめている。
何も塗られていない爪は、きれいなピンク色だった。
まあるい肩が、ゆっくりと上下する。
白い首筋は、その肩に埋まってしまうほど緊張に縮こまっていた。

「いきます」と口の中でつぶやいて、涼子さんの手首をとる。
「うっ」と「あっ」の中間くらいの声が洩れ、涼子さんの身体はますます強張った。
右手を下にして重ねた左右の手首を支え、その下に麻縄をくぐらせる。
両手首に2回巻きつけて、きゅっと結んだ。
縄尻を引き上げて高く持ち、そのまま涼子さんの顔を覗きこむと、
いやいやをしながら俯いて、唇を噛んでいた。
(かわいい! 可愛い!)とゾクゾクしながら佳行さんを見ると、
もう少し縛ってやってください、と目で合図される。
コクリと肯いて涼子さんの肩に手をおきながら、左腕から胸の前へと縄を回した。
手首に戻って固定するときに少し力を入れて締めると、
涼子さんは上体を前に倒して首を左右に振る。
(きついですかね)と目で問うと、
すぐそばで腕組みしながら見つめていた佳行さんは
そんなことはありません。まだまだいけます。
と自信ありげに鼻の穴を膨らませた。

201707-03.jpg

でも、わたしが縛るのは最初の一本だけという約束だし、
何よりも、わたしが縛っていたのではビデオを撮ることができない。
涼子さんの両肩を手のひらで包んで、後ろから耳元に囁く。
「では、離れますね。あとはご主人にお任せします」
恥ずかしそうに肯いて、涼子さんはぎゅっと目を閉じた。

黒いバッグから麻縄を取り出し、佳行さんが涼子さんの正面に立つ。
一本の縄で縛られただけなのに、もう涼子さんは動けなくなっている。
身体を小刻みに揺らし、唇を噛みしめ、瞳を忙しなく動かしながら目の前の夫を見つめている。
時間にしたら、十数秒程度のことだったと思う。
だが、このふたりの間に漂うヒリヒリと痛いような空気は、
広い室内から酸素を奪いつくしたように、わたしを息苦しくさせた。

小さなビデオカメラを持つ手のひらが、少し汗ばむ。
まだ始まってもいないのに、こんなんで大丈夫か!? と思いながらも、
初めて目の当たりにする「マニア夫妻の緊縛交歓」に、心躍るというよりも
もう期待と興奮で目の前が真っ赤に染まるほど、わたし自身もハイテンションだった。

201707-04.jpg

愛用の縄は、濡木のよりも少し太いようだ。
充分に使いこまれているらしいそれは、麻縄なのに表面が滑らかで、
ヒトアブラ(涼子さんひとりだけなのか?)によるものだろう光沢がやさしげだ。
そのつややかな麻縄が、わたしが使った濡木の縄に結わいつけられ、
生命を宿したように呼吸し始める。
胸の下に二巻きし、後ろで留める。
わたしは佳行さんの手を追いながら、涼子さんの表情にも迫った。
「おっとりとやさしい女性」という印象の涼子さんは、
その反応もやわらかでやさしい。
激しく身を捩って悶えたり、大きな声で泣いたりということは、
きっとしないタイプなのだろう。
時折ため息を洩らしながら、きゅっとあげた肩に頬を擦りつけるようにして恥じらい、
目を閉じて縄を味わっている。
佳行さん手が肌に直接触れるたび、小さくヒッと息を吸い込む。

もう何十年も、こうして二人きりで緊縛を楽しんできたのだ。
それなのに涼子さんの反応は初々しく、可愛らしい。
その顔も、全身の表情も、本当に可愛らしいのだ。
お二人の間に流れる、やさしくも濃密な空気はいままであまり触れることのなかったもので、
一般の、素人の、「愛ゆえの緊縛」のマニアックな光景に、
自分が溶けて混じってしまいそうな錯覚をおぼえた。

ただ目の前のふたりを撮る。
わたしの撮りたいように撮る。
こんな機会を与えていただいたことに感謝しながらも、
わたしはただただ夢中だった。


※写真は枷井克哉氏の作品。
 女体を棒で突くのが好きな濡木痴夢男。
 二枚目は枷井さんの好きな腹部への責め。
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[ 2017/07/21 12:15 ] 緊縛美研究会 | TB(-) | CM(-)

マニアから学ぶこと・2

前回からのつづき

それまではチラチラとこちら(ベランダ)を見ていたくせに、
いざ縛ろうとなると、こんなにいきなり……。

できれば濡木が立ち上がる瞬間からビデオに収めたかった。
彼女のどんな仕草に触発されたのか知りたかった。
連れの男性を見る視線だったのか、ふと俯いたときの顎のラインだったのか、
それとも、はらりと一本抜け落ちた黒髪がスカートの上を転がるのを見たときなのか。
いや、もしかしたらそのどれでもなく、男性から電話を受ける前に話していた
美味しい焼きそばを、早く食べたいと思ったからなのかもしれない。
せんちゃんは、食いしん坊なのだ。

201707-1.jpg

今までに、パートナーである男性から何度も縛られていたらしい。
前開きのブラウス、後ろにファスナーがついたフレアスカート。
縛りながら少しずつ乱してゆくのに、ぴったりな服装をしている。
腕と胸をぎっちりと縛られた彼女は、じっと男性の方を見ている。
背後の濡木を振り返ったのは、最初の一度だけだった。
「彼女には話していない」のではなかったか。
驚きも怖がりもせず、麻縄に拘束される自分の身体を男性の方に向け、
胸を突き出すように背中を少し反らす様子は、
こういったハプニングに見せかけた緊縛・SMが彼女にとっては
特別なことではないように思えた。

「どう? 彼女。いつもやられてる縄と違うだろう」
男性の方を向いて、少し得意そうに言う濡木。
彼の表情が変わるのを面白がっているのだ。
でも、残念なことにベランダから男性の顔は見えない。
きっと、いつもこんなことをしているのだろう。
ふたりのSMプレイでは満足できず、誰かに見られることや、
彼女が他の男に縛られるのを楽しむようなカップルなのだ、と
わたしは勝手にそう思い、寒いベランダでコソコソと撮っている自分に
ムカムカしてきた。

彼女のブラウスのボウタイを、濡木がしゅるっとほどく。
白くふっくらとしたデコルテには、黒っぽい筋状の痣のような物が見える。
カメラを三脚から外し、ハンディに切り替えてガラスに近寄ってみる。
あぁ、もどかしい。
どうせ撮影されることだって知っている筈だ。
そう思い、そっと外からサッシを開ける。
ゆっくり、静かにそろそろと。
冷たい空気が室内に流れ込み、彼女はきゅっと肩をすぼめながらこちらを見た。
目が合った時のその顔には、満足気な(今で言う)ドヤ顔が張り付き、
わたしと彼女は一瞬で何かを共有したと確信した。

201707-02.jpg

ドヤ顔にドヤ顔で応え、わたしは彼女に近寄っていった。
レンズがその肌に触れるほど近づき、唇から洩れる息で画面が曇る。
濡木に目で合図しながら下がる。
ボウタイの下のボタンをひとつ、ふたつと外していくと、
むっちりとした身体が露わになってきた。
うっかり指を這わせたら、吸い付いてしまいそうな肌。

濡木が黒いブラジャーからぷるぷるの乳房をつかみ出す。
片方だけ零れた乳房の上に縄を押し付け、麻紐で乳首の根元を縛った。
苦痛の呻き声を漏らしながら、彼女は上半身を彼の方へ捩る。
差し出された乳房を、両手で強く握り潰すように揉む彼。
熟した桃だったら、とっくに果汁が溢れて滴っていただろう。
皮膚が破れてしまうのではないかと心配になるほど、
その揉み方は激しかった。
彼女は歯を食いしばるようにして身体を揺らしていたが、
急に大きな声で悶えはじめた。
あまりにも大きいその声に、濡木が慌てて布を口に詰め込む。
喉の奥まで届くほど大量の布を詰められ、彼女は息が苦しそうだ。
さらに手拭いを二重に巻きつけ、その上から麻縄をかけた。
「う゛う゛~」
とくぐもった低い声で呻きながらも、彼女は自分から床に横たわると、
フレアスカートの脚をそろそろと開いていった。


「や、私は何を書いているのだ」
これは、以前の「緊縛ナイショ話」でせんちゃんがよく書いていたこと。
すぐに書いていることが横道に逸れてしまっていた。
わたしは、「こんなに詳しく書くつもりじゃなかった」
いつもそうなのだ。
さらっと書いてどんどん進めるつもりが、詳しく再現したくなってしまう。
これも、「マニアから学んだこと」のひとつだ。

つづきはまた次回に。

※写真はどちらも枷井克哉氏の作品。
 サングラスをしたせんちゃんは、ちょっとキモチワルイ(笑)

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[ 2017/07/19 01:31 ] 緊縛美研究会 | TB(-) | CM(-)

マニアから学ぶこと・1

せんちゃん(濡木痴夢男)と毎月緊美研の例会を行っていた当時、
ことあるごとに「マニア」「マニア」とせんちゃんが口にするのが鬱陶しかった。

濡木の言う「マニア」とは、もちろん「緊縛マニア」のことで、
本当にマニアと呼べるほどでもなく、
「ちょっと縄に興味があります」
「一度縛られてみたかったです」
その程度の若い女性のことも、濡木はマニアと呼んだ。

一般女性が会員と一緒に、あるいは濡木が大手ビデオメーカーの現場で見初めた
AV女優などが見学のつもりで例会に参加すると、
「ちょっとここへ来てごらんなさい」
と、麻縄を扱きながらニコニコと言う濡木に導かれ、
床と平行に天井から吊り下げられた竹棒の下に立たされる。
そしてライトが向けられ、気づいた時には高手小手に縛られている。
そんなことが毎月のように起こった。

彼女たちはたいてい、知らないうちに拘束されたことに驚き、
手首に巻き付いた麻縄の感触のやさしさに驚く。
「もっと痛いのかと思ってました」
「綿ならいいけど、麻縄はチクチクしそうで嫌でしたが、
こんなに柔らかいなんて」
濡木の縄は、ふわりと舞い降りるように手首に絡み、
そのまま二の腕、胸と身体に巻かれてゆく縄を
ぼんやりと見おろしていられるほど、初めて来た女性にやさしい。
まずは、麻縄を知ってもらうこと。
麻縄を好きになってもらうこと。
そこからはじまるのだ。

濡木は、彼女たちを注意深く観察しながら縄を足し、
出来そうな人は、次第に厳しいポーズに固縛してゆく。
もう彼女たちの口からは、照れ笑いも何も出ない。
切なそうな溜め息と、時々喘ぎ声を漏らしながら
縄に身を任せるばかりになる。
そして、解かれる頃にはすっかり麻縄の虜になり、
「ほどかれたくない」
と小さな声で洩らすのだ。

そんな女性たちをたくさん見てきたが、
当然、まったく縄に興味がなく、縛られることに不安を持つ女性もいた。

「一人で緊美研に行って、濡木先生に縛られてこい。
その恥ずかしい姿をビデオに撮ってもらうんだ」
ご主人にそう言われ、本当に一人だけで新幹線に乗って来た、桜井礼子さん。
礼子さんは、例会の中で濡木に縛られ、言葉による辱めを受けながら、
涙を流していた。
それは不快感情からではなく、とても充足した幸福な涙だったという。

「妻(あるいは恋人・愛人)を縛って責めたビデオを作って欲しい」
という要望もたくさん寄せられたが、それは緊美研の趣旨と違うため、
いつもお断りしていた。
しかしある時、強引な一人が新宿の緊美研事務所に
女性を伴ってやってきた。

愛人であるというその女性には、縛ることは一切話していない。
事務所で濡木やスタッフと会話しているうちに、
女性は必ずその気になるから、是非お願いしたいと。
電話を受けた30分後に到着するというので、急いで準備をした。
狭い事務所だった。
壁には商品である(当時)ビデオテープを収めた什器がびっしり並び、
反対側には机やFAX台などが設置してある。
中央のテーブルを囲んで座り、そのまま流れで縛り始めることになっていた。
カメラを出したりセッティングしたりでは、
せっかくその気になった女性の気が削がれてしまうと、
予めベランダにビデオカメラを設置した。
ガラス越しの撮影になる。
サッシ窓の下半分はすりガラスなので、できるだけ立ちポーズで。
もしも床に倒れてしまったら、三脚からカメラを外してハンディで撮り、
女性が前後不覚になるほど縄酔いしたら、そっと室内に入って撮ればいい。
そんな段取りだった。
もちろん撮るのはわたしだが、その前に来客を迎え、お茶を出さなければならない。
どうしようかと悩んだが、隣の部屋からベランダに出て、
エアコンの室外機を跨いでカメラにたどり着くことにした。
寒い時期だった。
コートを出す余裕がなかったため、
事務所にいるままの薄着で7階のベランダに出るのは辛かったが、
「いい画」を撮るためなら、寒さなどすぐに気にならなくなる。
奥行のない狭いベランダで、ひとり待機すること30分。
男たちが三人がかりでなだめすかし、女性は女王気取りで笑っている。
ベランダからガラス越しの撮影。
もちろんカーテンは閉められており、細い隙間からこっそりと撮るのだ。
濡木がチラチラとこちらを見る。
バレちゃうからやめてぇ~、と思いながらかじかんだ指を録画ボタンの上に置く。
痺れを切らした濡木がいきなり立ち上がり、女性の背後に回った。
「あっ、ちょっと……」
そんな言葉が彼女の口から洩れる。(よく聞こえなかったけど)
「そんな気はなかった」割に、彼女は協力的に身をよじって縄を受けた。
とても積極的に見えた。

長くなってしまった。
続きは次回に。

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[ 2017/07/16 21:50 ] 緊縛美研究会 | TB(-) | CM(-)

やさしい縄

わたしは、よくお菓子を作ります。
ケーキやクッキー、パイなどの焼き菓子がほとんどです。
今ではバターや卵白を泡立てるときには
電動のハンドミキサーを使いますが、
本当は大きめのホイッパーを使って、手作業をしたいです。

昔のハンドミキサーでは、材料の中に出来る気泡があまりよくなく、
ボウルの底から掬い上げるように、
大きく動かすことができる泡立て器で作業したときよりも、
風味も口当たりもずっと落ちると感じていました。
手作りなんだから器械に頼りたくない・全部手作業でやりたいという、
へんなこだわりがありました。
大変な想いをして作った方が美味しくなるはずだという、
根拠などない思い込みもありました。

今は電動ハンドミキサーを使いますが、
それでもやっぱり、器械に頼らない方が
心のこもったやさしい味わいになると、そんな気がしています。


前回(12月)の緊美研開催時のビデオをチェックしました。

一人目のモデル、沢戸冬木さんが衣装に着替えて
奈加さんのとなりに座っています。
奈加さんは、自分のバッグから麻縄を取り出し、
太さや扱い方をみんなに解説しています。
「濡木先生はスーパーの袋に入れてあったよね」
「先生はいつもこうして縄を指でしごいてた」などと、
奈加さんの仕事の道具であり、
自身の魂をこめたものである麻縄を
大切そうに披露してくれました。

その中で、濡木痴夢男は麻縄をどのように柔らかくしていたかを
みんなに教えてくれました。
せんちゃんはいつも、新しい麻縄を両手の指で少しずつ手繰りながら、
丁寧に丁寧に揉んでいました。
だから、せんちゃんが座っていた場所には、
いつも縄の繊維ゴミが大量に落ちていたのです。
チクチクと衣類に刺さるそのゴミは、
せんちゃんが着ていた黒いスウェットの上下にびっしり着いて、
撮影後の緊美研事務所の洗濯機は、そのゴミですぐにいっぱいになりました。

でも、そうしてせんちゃんが手揉みした麻縄は、
余分な繊維が抜けた分、ふんわりと柔らかく、
軽やかに肌に吸い付きます。
どんなに厳しい縛りでも、せんちゃんの縄は何故か安らぐ。
写真集「BIND」のテキストで、
MERZBOWの秋田昌美さんはこう書いています。
「彼女たちは孤独だが、一瞬安らいでいるようにも見える。
不二秋夫が彼女たちに成り替わりたいという愛情があるからだ」と。
緊美研で撮影された写真を鑑賞するときには、
確かにそう感じることがあるかもしれません。

でもわたしは今日、ビデオの奈加さんの言葉を改めて聞いて、初めて思いました。
せんちゃんが手間暇かけて、縄を揉んで柔らかくしてくれたからなのではないかと。
だから、そのやさしさと愛情を感じて、
「彼女たちは安らぐ」のではないかと。
余分な繊維が抜けて、代わりに充分な空気を含んだ麻縄は、
ふんわりと柔らかく、きっとヒトアブラも吸収しやすいのでしょう。

あの、一本目の縄が背中に回された手首にかかった瞬間の、
切なくて懐かしくて、泣きたくなるような感じは、
きっとせんちゃんのやさしさと愛情があったからなのかな、と
今はもういない人に、訊いてみたいことがいっぱいで、
また今日も泣けてきそうです。

奈加さんが濡木痴夢男の話をするとき、
カメラを持っていても、わたしはせんちゃんの縄を手首に感じます。
やさしくて厳しいあの縄が、奈加さんの手の中で呼吸している。
女の肌に食い込み、厳しく責めてやろうと、その時を待っている。
技術や道具よりも、本当に大切なもの。
緊縛の「こころ」を受け継いでくれた奈加さんに、
ものすごく感謝しているのです。

奈加さんの手の中で揉まれていた縄を想いつつ、
明日は久しぶりにハンドミキサーを使わずに、ケーキを焼こうかな。

【追記にて、次回緊美研の詳細をお知らせしています】

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[ 2017/02/01 01:31 ] 緊縛美研究会 | TB(-) | CM(-)

嫌がらせを愉しむ人たち

昨日の記事 『緊美研で縄師をやりたいんですけど』 には、
たくさんの人からコメントやDMをいだきました。
みなさまにご心配をおかけいたしました。
奈加あきらさんをはじめ、ご不快な想いをされた方もいらっしゃると思いますが、
これからも、こういった問い合わせや嫌がらせは、
きっとなくならないと思います。

昨日の記事の「縄師志望の人」を、仮にAさんとします。
ブログにAさんのことを書いた後、Aさんとの会話を思い出してみました。

昔「濡木痴夢男の緊美研」をやってたでしょう?
今は「奈加あきらの緊美研」ですよね?


こういう、カチーンとくる無礼な言い方とか、その声の感じなど、
ああ、あの人は本当に縄師になりたいんじゃなく、
もしかしたら女性を縛ったことなんてないのかもしれない、
ただ、嫌がらせをしたいだけなんじゃないか。
そう思いました。
同じように失礼で気味の悪い電話は、
むしろ昔の緊美研時代の方がたくさんありました。

●せんちゃんをものすごく貶めるような手紙を何度も何度も送ってくる人。
●わたしのことを『秘書』と言い、緊美研の社長に命じられれば、
 誰とどんなプレイでもするんでしょ? と言う人。
●濡木痴夢男の縄は死んでいる、私の縄は生きているという人。
●切腹ビデオの特殊メイクは最低だ。自分をスタッフに加えろという人。
●真性M女を大勢手持ちにしている。いつでも貸し出してやるという人。

考えていたら、当時のイヤな思いが蘇ってきて吐き気を催してきたし、
いまここで過去の例を挙げても仕方ないので、もうやめますが、
とにかく、想像もしていないようなイヤなことを言う人は、
本当に多かったです。

でもね、それらの人たちは「そういうマニア」だったのかな、
とも思うのです。
他人にイヤな思いをさせることに快感を覚えるマニア。
他者に嫌がられることでしか、自己の存在を認識できない人たち。
だからそんな人たちにとっては、内容はどんなことでもいいのかもしれません。
目的はとにかく「人に嫌な思いをさせること」ですから、
相手が困って返事に詰まったり、イヤな思いをしているな、と
感じることが気持ちいいわけです。

受話器で繋がったそんな相手を想像してみます。
薄暗くて散らかった、汚くて臭くて惨めな部屋で、
電話の前にじっとうずくまり、自分しかいないのに息を殺して、
相手から発せられる
『もうなんなの、この人! 気持ち悪いし、酷いこと言うし、腹が立つ!』
というオーラを感じてほくそ笑んでいるのではないかと思うのです。
『もっと困れ、もっと嫌がれ、もっと怒れ』
と興奮して、弱く無抵抗な小動物をいたぶっているような気持ちになるのでしょうか。

本当に迷惑だし、気持ち悪いし、とってもイヤな人だけど、
こういった、屈折して自己否定感が強くて、しかも粘着質な人って、
ある意味緊美研の会員として相応しかったりするのです。
向いてる方向や、好きだと思うことが違うだけで、
何を美しいと思い、何を思って感じるか、泣きたくなるか、
そういうことが違うだけで、心の「質」みたいなものは、
その根っこの部分は、たぶん似たような形をしているのかもしれません。

ううーむ。
そう考えると、もう一度話してみたい気もするなぁ。
きっと、Aさんは、ツイッターやこのブログなどもチェックしていると思います。
そして、わたしだけではなく、何人もの人がAさんのことを話題にし、
怒っている人も少なからずいることに、
とっても喜びを感じているのではないかという気がするのです。

だから、そんな人などいなかった。
そんな電話などかかってこなかった、という風に、
無視されることが一番悔しいんだろうな、と思うので、
今回はとても楽しかったんじゃないかな。

そして、最初にイヤなヤツだった人が、
後に「役に立ちたい」と張り切っちゃう人に変貌することも、
わたしは過去の出来事から知ってはいます。

でも、そんなことに時間を使いたくはありません。
だからAさん、もうやめてね。
あなたの声は覚えたよ。

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[ 2016/11/23 07:06 ] 緊縛美研究会 | TB(-) | CM(-)
プロフィール
春原 悠理 Youri Sunohara Facebook
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濡木痴夢男の緊縛美研究会の主宰です。
好きなもの:ねこ、チョコレート、雑多な読書、映画鑑賞

便利なものは苦手です。
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